サンタクロースに恋をした
 放課後、調理室に来るとまだ先輩の姿はなくて先に食材を用意する。

「なーみちゃんっ」

 来たのは、渉先輩じゃなくて梨衣名先輩だった。

「先輩っ」 

 久々の先輩は、爽やかな笑顔を浮かべていた。

「来ちゃった。実は推薦で大学受かってね、時間があるの。っていっても、大学から課題がたくさん出てるんだけどね」
「すごいですっ、おめでとうございます」

 先輩は晴れ晴れとした表情をしていて、いつにも増して輝いている。

「最近、渉とはどう?」
「あ……えっと、私彼氏できたんです」
「え? そうなの?」

 梨衣名先輩はまん丸な瞳で私を見る。 

「その……好きでいてくれる人と一緒にいたほうが幸せかなって」 

 それに、私だって少しずつ好きという気持ちが膨らんできている。

「……そうなんだ。那美ちゃんが決めたことなんだもん、尊重しないとね」

 先輩は、お湯を沸かして紅茶を用意する。 

「渉、いるんでしょ? 入ってきたら?」
「え……?」

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