サンタクロースに恋をした
「えっと、今日からよろしくお願いします。1年の丸山愛莉です」 

 放課後彼女は早速調理室に来た。可愛らしい見た目に、女子らしい低め伸長、高めの声。

 これは男子にモテるだろうなあと思いながら彼女の顔を見つめた。

 隣で同じように彼女の自己紹介を聞いていた先輩は、顎に手を置き何か考えている。

「あれ……君、どこかで見た事あるような……。あ、中学の時の委員会で一緒だった子だ」
「先輩、覚えてくれていたんですね。お久しぶりです、渉先輩」
「うん、久しぶり、丸川さん」

 どくんと、心臓が大きく鼓動した。 

 親し気な2人の姿を見ると、心がぎゅうっと掴まれる思いになる。普通、委員会が同じだけの後輩の名前って覚えてるもの? 

 中学の頃の記憶を辿ってみるけど、私は全然思い出せない。顔くらいならなんとか……。私の知らない先輩を知っているこの子は、何を思って料理部に……。

 2人は、仲が良かったの……?

「俺たちも、今日からお世話になります」
「苺大福、作りましょう、先輩」
「うん、いいね」

 彼女を見ると、その視線は渉先輩に向いていて、その視線を見れば分かる、彼女は先輩に恋をしている。もしかして、先輩を追って入部してきた……?

 でも、こうやって見ると2人は容姿的にはすごくお似合いで、それは羨むほど。

「なんか、一気に賑やかになったね」
「そ、そうですね。2人でやってたのが嘘のようです」

 渉先輩に話しかけられるまで、自分の世界に入り込んでいた。

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