サンタクロースに恋をした
 先輩を初めて見た時、自分と同じだと直感した。

 女の人みたいな白くて綺麗な肌に、まるで宝石のような瞳、髪の毛も色素が薄くてうっすらと茶色く、そこらへんにいる男子とは纏う空気が全然違った。

 でも、先輩は自分の容姿に対して負の感情を持っている。笑わない先輩を見ると分かる。

 多分、私と同じだ。この容姿のせいで人から妬まれて、異性からはちやろやされて、そのせいで余計に同性である女子からは嫌われて。

 それに、近づいてくる男子だって私の表面しか見ていないことは分かった。

 好きだという言葉の奥には、ただの自己満足だけしか見えなかった。可愛い彼女がいれば自慢できる、自己顕著欲が満たされる。誰も心から私を好きだと言ってくれる人はいない。

 似てると思った。同じだと思ったからこそ、だんだんと先輩の存在が気になっていて、いつの日にかそれは恋心へと変わっていった。

 胸に秘めたその思い、伝える前に先輩は卒業して、結局告白はできずに終わってしまった。ああ、恋心よさようなら……。

 その時は、そう思ったんだ。

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