恋の糸の先で……
踊ることに集中していたアンは、気付けなかった。踊るルーサーが二人を見守るシャノンと目を合わせ、互いに黒い笑みを浮かべていたことを……。



あのパーティーでシャノンと再会してから、アンの屋敷にはよくルーサーがシャノンを連れて遊びに来るようになった。

「あんな上流貴族の方にこんな田舎にわざわざお越しいただくなんて……」

母は緊張したようにそう言いながら、いつも紅茶とお茶菓子を用意する。と言っても、お菓子は母とアンが手作りしたクッキーなどが多く、紅茶もルーサーたちが飲むことはないような庶民が口にするものなのだが……。それでもルーサーとシャノンは「おいしい」と言ってくれるので、アンはホッとしていた。

紅茶を中庭で楽しみ、何気ない会話をする。その時間がアンにとって楽しいものだった。そんなある日、ルーサーに言われたのだ。

「よかったら、うちにも遊びに来ない?素敵なバラ園があるんだ。きっと気に入ると思うよ」
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