彼女を10日でオトします~裏話・番外編~
策士に気づいた7日目
『策士に気づいた7日目』
いやあ、俺、驚いたね。一驚に喫するってまさにこのこと。
何にそこまで驚いたかというと、燈子さん。
昨日、キョンに火傷を負わせちゃって、『メロディ』に送り届けた時はマジだったのよ、燈子さんのビンタ。
もうね、血相変えちゃって、柳眉を逆立てるってやつ? 美人がまともに怒るとめっちゃ怖いのね。アンタ、響子に何してくれてんのよ、バチコーンってぐあい。
それがさ、一夜明けた今日、キョンちゃんと体育倉庫で過ごした今日よ。
出勤したときは、プンプンだったの。
あれ? ちょっと怒り方が違うなとは、ちょっと思ったんだけど、まさかね。
キョンが着替えを済まして、占いの小部屋に入った途端よ。
燈子さんが、
「たすく君、私に怒られてるフリしなさい」
って、耳打ちしてきたのは。
呆気にとられたね。まさかまさかの発言でしょ。いくら俺でも、ぽけーっとなっちゃうわな、そんなこと言われたら。
「あの子ね、人が謝る姿に弱いの。誠意にぐっときちゃう子なのよ」だってさ。それから、「何度も私に頭を下げなさい」って付け足して。
もちろん、燈子さんにそう言われなくても、何度でも頭を下げる気でいたけれど。
目を細めて口端を吊り上げるわけよ、あの清楚な顔で。
「そうすれば、あの子、たすく君に好意を持つわよ」って言うの。
そういうの、キョンちゃん騙してることになるんじゃないのって思ったけど、言わなかった。というか、言えなかった。
だって燈子さん、俺が断れないオーラだしまくりなんだもん。カウンター越しに、刺すように俺を見つめてるわけ。
俺、ぞぞっとしたね。こんなお人が俺の義理のお姉さんになるのかって思ったら。
燈子さん、想像以上の策士。
この人を敵に回したら、俺、生きていけないんじゃないのって思っちゃったくらい。
世の中には、こんなにおっかない人がいるもんだねえ。
貴史ちゃんに同情しちゃったな、俺。
了
いやあ、俺、驚いたね。一驚に喫するってまさにこのこと。
何にそこまで驚いたかというと、燈子さん。
昨日、キョンに火傷を負わせちゃって、『メロディ』に送り届けた時はマジだったのよ、燈子さんのビンタ。
もうね、血相変えちゃって、柳眉を逆立てるってやつ? 美人がまともに怒るとめっちゃ怖いのね。アンタ、響子に何してくれてんのよ、バチコーンってぐあい。
それがさ、一夜明けた今日、キョンちゃんと体育倉庫で過ごした今日よ。
出勤したときは、プンプンだったの。
あれ? ちょっと怒り方が違うなとは、ちょっと思ったんだけど、まさかね。
キョンが着替えを済まして、占いの小部屋に入った途端よ。
燈子さんが、
「たすく君、私に怒られてるフリしなさい」
って、耳打ちしてきたのは。
呆気にとられたね。まさかまさかの発言でしょ。いくら俺でも、ぽけーっとなっちゃうわな、そんなこと言われたら。
「あの子ね、人が謝る姿に弱いの。誠意にぐっときちゃう子なのよ」だってさ。それから、「何度も私に頭を下げなさい」って付け足して。
もちろん、燈子さんにそう言われなくても、何度でも頭を下げる気でいたけれど。
目を細めて口端を吊り上げるわけよ、あの清楚な顔で。
「そうすれば、あの子、たすく君に好意を持つわよ」って言うの。
そういうの、キョンちゃん騙してることになるんじゃないのって思ったけど、言わなかった。というか、言えなかった。
だって燈子さん、俺が断れないオーラだしまくりなんだもん。カウンター越しに、刺すように俺を見つめてるわけ。
俺、ぞぞっとしたね。こんなお人が俺の義理のお姉さんになるのかって思ったら。
燈子さん、想像以上の策士。
この人を敵に回したら、俺、生きていけないんじゃないのって思っちゃったくらい。
世の中には、こんなにおっかない人がいるもんだねえ。
貴史ちゃんに同情しちゃったな、俺。
了