【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「白上さんが休んでる間、郷田さんがどれだけシフトを詰めてくれたかわかってる? 郷田さんががんばってくれなかったら回らなかったよ。あの人もシングルマザーなのに、白上さんとは全然違ってしっかりしてるよね。ほんと女って男ができるとコロッと変わるんだよなあ」

「……」

手のひらを返した矢野さんに、私は言葉を失った。一体何が起こっているのかわからない。

呆然とバックヤードを出て、清掃に向かう。郷田さんはどうしてそんなひどい嘘をついたのだろう。

「郷田さん……」

内廊下で、郷田さんとばったり出会った。

すると彼女は私につかつかと歩み寄り、口の端を吊り上げる。

「あら、もう子どもは大丈夫なの?」

「……はい。ご迷惑をおかけしました」

私は頭を下げた。私が休みを取ったことで郷田さんに負担をかけたのは紛れもない事実だからだ。

郷田さんは苦笑いする。

「いいえー、困ったときはお互いさまでしょう?」

「……はい、ありがとうございます」

私は言葉少なにその場から立ち去ろうとした。彼女を追及するつもりはなかった。

けれど彼女は私を引き留めてくる。

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