【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「あら、樹に見つかっちゃったわね。お友だちに頼まれたものを、莉帆ちゃんに持ってきてもらったところなの」

奥さまが私の代わりに答えると、いっちゃんは奥さまの手中の品物を見て、うんざりした顔をする。

「オルゴール? そんなくだらないもののために、莉帆を使いぱっしりにしたのか? そんなの後日でよかっただろ。莉帆はうちの使用人じゃないと何度言ったら……」

「いいの。私はおうちでゆっくりしていただけだし、奥さまのお役に立ててよかったです」

私は奥さまを庇うように口にした。

奥さまは何も悪くない。私が自分の意思で引き受けてやってきたのだ。そして、勝手にきれいな女性たちと自分を比べて落ち込んでいるだけだ。

「そうだ莉帆ちゃん、せっかく来てくれたんだし、よければゆっくりお食事していってね」

奥さまはいっちゃんの苦言を聞き流し、私の背中を押して会場内へ促した。

気を遣ってくれたのだろう、けれど私はどうしても中に入りたくなかった。

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