【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
呆然と呟くと、旦那さまは目を見開いた。

まさかいっちゃんがこんなに早く出張から帰ってくるなんて思ってもみなかった。

「申し訳ない。私の失態だ」

旦那さまは私に詫びた。けれど今はそれを悔いている場合じゃない。いっちゃんにどう説明するのか考えるのが先決だった。

「いっちゃんは……簡単にはごまかされないと思います……」

「そうだろうな。おそらくごまかすのは不可能だろう」

旦那さまの意見に、私は同意した。きっともう逃げられないだろう。

私は絶望感に打ちひしがれる。

「私が話そう。電話、代わってもいいかい？」

頷くと、旦那さまは私のスマートフォンを手に取った。そうして「樹、私だ。事情を話すから上がって来なさい」といっちゃんを部屋に導く。

「旦那さま……、いっちゃんに本当のことを告げるおつもりですか……？」

たとえ打つ手がないとしても、そんなのは許されなかった。

「莉帆ちゃん、私はもう覚悟が決まったよ」

この期に及んで足掻こうとする私とは裏腹に、旦那さまはとても落ち着いていた。

覚悟――。

あまりにも重いその言葉に、私は目の前が真っ暗になる。

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