【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「うん、私も……。でも、泉が見てるから……」

キスの気配を感じ、私はためらいがちに囁いた。

するといっちゃんは名残惜しそうに私から体を離し、優しく頭を撫でる。

「今度は見ていないところでな」

「……うん」

いっちゃんははじらう私に微笑みかけると泉のもとに戻り、「じゃあ泉、パパは仕事に入ってくるな」と声をかけて部屋を出ていった。いっちゃんはいつの間にか、泉を呼び捨てにしている。それどころか自らパパを名乗る気の早さだ。それには少し反応に困ってしまう。

そうしてほとんどいっちゃんと入れ違いに、盛宮のおじいちゃんがやってきた。

「じいじ」

泉はおじいちゃんに駆け寄った。今日は来客が多くてとてもうれしそうだ。

けれどおじいちゃんはなぜか深刻な顔つきをしている。

「どうかしましたか?」

私は首を傾げた。

「いや……。今そこで犀川家の令息を見かけたんだが、もしかしていっちゃんというのは樹くんのことだったのか?」

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