【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「どうしたの、いっちゃん。眠い? 飲みすぎちゃった?」

歩み寄ると腕を引っ張られ、私はいっちゃんの横に倒れ込む。兄妹のように育った私たちには、このくらいはありふれたことだった。純白のシーツの上にふたりで乗り上げて、私は昔を思い出す。

幼い頃、私はいっちゃんの部屋のベッドでよく飛び跳ねていた。スプリングが沈み込んでは跳ね返ってくるのがトランポリンみたいで楽しかったからだ。自分の部屋はお布団だったから、物珍しかったのもあった。

五歳年上のいっちゃんにとってはかなり子どもっぽい行為だっただろうに、いつも笑いながら許してくれたのが、昨日のことのようだ。

「ねえいっちゃん。私、いっちゃんて呼ぶの、もうやめようかな? 樹さんって呼んだほうがいい?」

不意に呟くと、いっちゃんは面食らった顔をする。

「なんだよ、急に」

「なんだか子どもっぽいなって。それに、いっちゃんも嫌じゃないの?」

二十七歳になってもちゃん付けで呼ばれるのを、いっちゃんはどう思っているのだろう。

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