【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
運命の悪戯
――二年ぶりのいっちゃんとの再会から逃げ出した私は、ホテルのバックヤードに戻るとその場に頽れた。

動揺が抑えられない。まともにいっちゃんを見られなかったのに、私をまっすぐに射貫くいっちゃんの姿が脳裏に焼きついて離れなかった。

勤務中なのに、しっかりしなくちゃいけない。

私は自分を奮い立たせると、担当しているほかの客室に向かい、気を逸らすように清掃業務に励んだ。

そうしていっちゃんがホテルを出たのを確認してから、最後にインペリアルスイートルームに戻る。

リビングのテーブルには、私宛に一枚のメモが残されていた。

『莉帆へ 取り乱してすまなかった。冷静に話したい。明日、今朝と同じ時間にこの部屋で待っている 樹』

逃げたのはその場しのぎだとわかっていたけれど、私はメモを握り締めて項垂れた。

再会した時点で、振り切るのは不可能だ。私は覚悟を決めるしかない。

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