【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
いっちゃんの子だと知り驚く旦那さまに私は「産ませてください」と懇願した。

「いっちゃんは私の妊娠を知りません。今後も告げるつもりはありません。いっちゃんと結婚できるなんて、思っていません。ひとりで産んで育てるつもりです」

おなかの子は諦めてほしいという言葉を阻むように、私は言い募った。

旦那さまはすぐに床に膝をつき、私の体を起こしてくれる。

「ひとりで抱え込んでいたんだね。つらかったね。樹の父親として、詫びさせてほしい」

申し訳ないと、旦那さまは私に頭を下げた。いっちゃんによく似た端整な面差しには、苦悶の表情が浮かんでいる。

「旦那さま……」

「だが、莉帆ちゃんがそう決断してくれて、私はほっとしている」

それは上辺だけのきれいごとは決して言わない、旦那さまの本音だった。

「莉帆ちゃんも知っているだろうが、妻は自分が選んだ相手との結婚が樹のためだと考えていてね……。犀川家を守るためならなんでもする。そういうところに私も不満はあるが、なかなかうまく折り合いがつかない。樹が妊娠を知れば、迷わず莉帆ちゃんと結婚すると言い出すだろう。そうなると犀川家は……」

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