【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
私の意地で、直接的な金銭の援助はすべて断った。一ヶ月前までは自分の貯金と、祖母が残してくれたお金でなんとかやりくりをしていたのだ。そうしてやっと働き出した矢先のことだった。

私はスマートフォンを手に取り、旦那さまに電話をかける。

「お忙しいところ申し訳ございません。莉帆です」

『ああ、莉帆ちゃん、ひさしぶりだね。泉くんは元気かい?』

旦那さまはいつもの明るい声だった。そのことに、私は罪悪感が押し寄せる。

「泉は元気にしています。ですが、申し訳ございません……。いっちゃんと再会してしまいました……」

弁解の余地もなかった。

『……そうか。秘書から樹がベリーヒルズのホテルで生活していると聞いて、もしかしたらと案じていたのだが、再会を……』

旦那さまは意外にも、あまり驚いていない様子だった。

「私が油断して、ホテルでパートを始めたせいです」

『いや、これもまた運命なんだろう。樹はなんて?』

「話したいと……」

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