【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「当たり前だろ。そもそも俺は酔うほど飲んでいなかったし、もし酔っていても誰彼構わず手を出したりしない」

いっちゃんはきっぱりと言い切った。

いっちゃんが目を覚ます前に私はホテルを抜け出したから、気づかれていないと思っていたのだ。たとえもしかしたらと思っても、確証は得られないはずだった。けれど最初から私だとわかっていたのなら、あのあと素知らぬふりを突き通した私の態度は不誠実極まりない。

「でも、どうして私を……?」

私はいっちゃんにとって妹みたいな存在だ。

体を重ねた理由がどうしてもわからなかった。

「俺はずっと莉帆が好きだった。あの夜は莉帆が遠くに行ってしまう気がして、理性が飛んだんだ。どうしても俺のものにしてしまいたくて、強引に莉帆を……」

焦がれるよう目をして、いっちゃんは私に信じられない告白をした。

いっちゃんが私を好き……?

「嘘だ……」

そんなのありえない。

好きなのは私のほうだ。私がずっといっちゃんを好きだった。それに強引に抱かれたんじゃない。私がしてほしかった。

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