【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
いっちゃんを疑う私に、彼は少し悲しそうな表情になる。

「嘘じゃないよ。俺はずっと莉帆以外ほしくなかった」

「……じゃあ、あの赤い着物の女の人は……?」

「赤い着物?」

「うん……。あの日のパーティーで、いっちゃんといい雰囲気だった人だよ……」

そう奥さまが言っていたのを、私は今も忘れられなかった。

けれどいっちゃんは怪訝そうに首を傾げる。

「覚えていないな。そもそも誰かといい雰囲気だった記憶もないが」

本気で思い当たらないようだった。

「というか、莉帆も俺を好きでいてくれていると思っていたんだが、それはただの自惚れか?」

いっちゃんは私の瞳をのぞき込んだ。

胸に秘めていたはずの恋心を見抜かれていたことに、私の心臓は跳ね上がる。

「……っ」

「莉帆は成り行きや勢いだけであんなことしないだろ?」

「買い被りすぎだよっ……。私はそんなに純粋じゃないっ……」

私は必死に否定しながらも、泣き出しそうなくらいの喜びに包まれていた。

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