【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「……でも、俺の前から姿を消したあとも、莉帆はその恋人と結婚しなかったんだな。俺とのことがばれたとかじゃ……」

「ないよ。いっちゃんは何も関係ない。彼は私と結婚できない人だっただけ」

まるで妻子ある人のような言い方になった。けれどいっちゃんが納得してくれればなんでもよかった。

私は消え入りそうな声で、いっちゃんに訊く。

「……軽蔑した?」

しないはずがない。けれどいっちゃんの口で、はっきり切り捨ててほしかった。

「しないよ。俺はどんな莉帆でも受け入れる。何があったって莉帆の味方だ」

少しのためらいもなく、いっちゃんは答えた。

揺るぎないいっちゃんに、私は全身を鋭い針で刺されたような痛みを感じる。本当なら涙が出るくらいうれしい言葉が、今はただつらかった。

「もうほかに、俺に隠していることはないか?」

幼い頃から少しも変わらない優しい表情で、いっちゃんは私に問いかけた。

「……うん」

私は空っぽの答えを返した。自分が嫌で嫌でたまらなかった。

「それならまた、昔みたいに戻れるよな?」

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