【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
翌日は土曜日で、カレンダー通りのシフトの私は仕事が休みだった。

泉を連れて、ベリーヒルズの隣町にあるスーパーマーケットで日々の食料を買う。隣町と言ってもとても近く、子どもでも歩いて行ける距離だった。ヒルズ内のショッピングモールにも食材は売っているけれど、高級志向で私には手が届かない。

私がいつも利用しているスーパーは、新鮮な肉や魚、野菜が格安で購入できる、主婦に優しいお店だ。

一歳二ヶ月頃から上手に歩けるようになった泉は、今はもうベビーカーに乗るのを嫌がる。スーパーからの帰り道は泉と手をつなぎながら、もう片方の手で複数のエコバッグを持たなければいけなかった。

一週間分をまとめて買ったから、エコバッグひとつには収まらず、ふたつの袋には食材が溢れるほどぎゅうぎゅうに詰まっていて、肩が外れそうだ。

「じいじ」

スーパーを出たところで、泉がぱっと顔を輝かせた。

すぐそこに知り合いのおじいちゃんがいて、こちらに歩み寄ってくる。

「泉くん、こんにちは」

泉はおじいちゃんを真似て、あどけない仕草でぺこっと頭を下げた。

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