【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「子どもがいるから、個室で座敷のほうがいいと思ったんだが」

いっちゃんは席に着きながら、私の所感を伺った。

「うん、ありがとう。泉、外食は初めてだからすごく助かるよ」

泉が悪戯しないか少し心配なものもあるけれど、いっちゃんが心を砕いて選んでくれた場所だから、素直にうれしい。

「外食、初めてなのか?」

「うん。でももうすぐ一歳半だし、薄味ならおとなと同じものを食べられるから大丈夫だよ」

四季の自然美が凝縮されたような昼の懐石は、旬の野菜や焼き物、煮物などの全八品で、どれも厳選された食材が使われていて上品な味だった。

泉に取り分けて食べさせていると、いっちゃんは箸を止め、正面から微笑ましげに見つめてくる。

「ん? どうかした?」

あまりにも視線を感じるから、私はいっちゃんに問いかけた。何か変なところがあっただろうか。

「莉帆はすっかりママだなって」

泉に手いっぱいで、自分のことはそっちのけで、メイクすらほとんどしていないのに気づかれたのだろうか。リップくらい塗ってくればよかったと、私は恥ずかしくなる。

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