【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「今までどこにいたんだ! 莉帆と連絡が取れなくなってから、俺はずっとずっと探してた! どうしていきなり行方をくらましたりしたんだ……!」

彼は我を忘れて、私に掴みかかった。

私はとっさに彼――いっちゃんから目を逸らした。

唇を引き結び無言を貫く私の両肩を、いっちゃんは押さえつけてくる。

「俺がどれだけ心配したと思ってるんだっ……」

決して目を合わせようとしない私に、いっちゃんはやるせなさを滲ませた。

あの日――私がいっちゃんの赤ちゃんを宿していると発覚してからもう二年、私は彼から身を隠し続けていた。すでに決まっていた就職先と引っ越し先を変更し、ひとりで赤ちゃんを産み、このベリーヒルズビレッジでひっそりと育ててきたのだ。そうしてやっと一ヶ月前に仕事を始めたばかりだった。

まさかこんなにもすぐにこの思い出の部屋で再会するなんて、想像すらしていなかった。

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