【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「実は今、ここの隣の部屋が売りに出されているらしくて、買おうかと思うんだ」

いっちゃんはまるでおもちゃやケーキを買うのと同じ感覚で、さらっと告げた。

「え!」

「いつまでもホテル暮らしというわけにはいかないだろう。ちょうど住むところを探していたんだ」

私は驚きすぎて声を失った。いっちゃんは一体何を言い出すのか。ここは一戸数億円超えの物件なのだ。それに昨日の今日で、行動力がありすぎる。

「昨日、莉帆を見ていて思ったんだ。ひとりで子育てするのは大変だろう。俺に手伝わせてくれないか?」

「え?」

確かに私は両親もおらず、祖母も亡くなり、頼れる人がいない。けれどいっちゃんに寄りかかるわけにはいかなかった。

たとえ泉が自分の子だと知らなくても、いっちゃんは私に構わず、別の人生を歩むべきだ。

子育ては私とじゃなく、きちんとした家柄のお嬢さまと結婚し、その人とするべきだった。

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