【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「何言ってるの? いっちゃん、お屋敷に戻りなよ。きっと奥さまが心配してるよ」

私はいっちゃんに強く訴えかけた。

「俺はもう二十九だぞ」

「でもいっちゃんは犀川家を継ぐんだから、結婚したらお屋敷に住むんだよ」

「なら結婚するまで、莉帆の隣に住む」

いっちゃんは頑として譲らなかった。私は困り果ててしまう。

「莉帆を放っておけないんだ」

妹のように思っている私が頼りないせいで、いっちゃんに心配をかけている。このままじゃ、いっちゃんは強行してしまうだろう。

「……隣の部屋を買わないでお屋敷に戻ってくれるなら、ここにはいつ来てもいいから……、だから、早まらないで」

私は苦渋すぎる交換条件をいっちゃんに出した。これ以上親密な関係にはなりたくないけれど、隣に引っ越してこられるのは絶対に避けたかった。それに何よりも、奥さまの心を痛めないでほしかった。

「俺が屋敷に戻るなら、ここにいつ来てもいいんだな?」

いっちゃんは念押しするように、私に確認した。

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