【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「そうだ。明日は俺も莉帆も仕事が休みだし、泉くんを動物園にでも連れて行こう」

出し抜けにいっちゃんが持ちかけてきて、私は目をぱちぱちさせる。

「動物園?」

「ああ。俺はゴリラが見たい」

「いっちゃんが見たいんだ?」

私はつい笑ってしまった。

「昔、莉帆と行ったことがある動物園にしよう」

いっちゃんはさくさく計画を立てていく。朝九時に車で迎えに来るから用意して待ってろよ、と指示すると、コーヒーを一気に飲んで嵐のように帰っていった。その勢いに私は断るタイミングを逃してしまう。

どうしよう、明日いっちゃんとおでかけするのが決まってしまった。

混乱していると、スマートフォンが鳴ってビクッとする。

しかも電話は旦那さまからで、浮かれた頭に冷や水を浴びせられた気分だった。

『莉帆ちゃん、夜遅くにすまないね』

電話に出ると、旦那さまはいつもの穏やかな声だった。『泉くんは元気かい?』と訊かれ、「はい、元気です」と答える。旦那さまは毎回必ず最初に泉の安否を尋ねてくる。

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