【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
『あれから樹とはどうなんだ?』

旦那さまからの問いに、私は正直に答えた。そして明日いっちゃんと動物園に行くことも告げると、旦那さまはなぜか笑う。苦い反応が返ってくると思っていた私は意表を突かれてしまった。

『いやいや、笑っている場合ではないんだが、樹は空白の二年間を埋めるのに必死なんだろうな。妹のように思っていた莉帆ちゃんにいなくなられて、樹は抜け殻みたいだったから。動物園、楽しんできなさい』

「いいんですか……?」

『莉帆ちゃんがいいのならね。勝手な話ばかりで申し訳ないが、莉帆ちゃんと再会してから、樹と妻の仲が目に見えて修復したんだよ。樹に実家に帰るように、莉帆ちゃんが促してくれたんだね?』

どうやらいっちゃんはきちんとお屋敷に帰り、奥さまとうまくやっているらしかった。それを知り、私は心の底からほっとする。

「はい……。それはよかったです」

『ありがとう。それでももし莉帆ちゃんが、樹に本当のことを話せずにそばにいるのがつらいなら、いつでも切り捨ててくれていい。そうして今度こそは樹の父親として、私が樹を説得するから』

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