【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「はいチーズ! はーい、おっけーです! お写真はのちほど、そちらの売店のサービスカウンターで販売いたします! お帰りの際、ぜひご利用くださいませ!」

こういうところに来ると、購入するか否かは自由だけれど、至るところで写真を撮られる。それにしても三人で写真なんて、なんだか出だしから面食らってしまった。

園内の道にはいろいろな動物の足あとが実物大で描かれていて、それをたどって散策できるようになっていた。

「あー!」 

泉は大きくてもこっとした、五本指の足あとの上で飛び跳ねた。

私はそばに設置されている看板を見る。

「それはヒマラヤグマさんの足あとだって」

「わんわん」

「わんわんじゃなくてクマさんだよ」

私は頬を緩めた。今のところ泉にとって動物は全部わんわんだ。

「へえ、歩幅も正確に再現してるんだな」

いっちゃんは私の後ろから看板をのぞき込む。

「う、うん、そうみたいだね……」

急に距離を詰められて、私はついぎこちない受け答えになってしまった。

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