【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
サバンナゾーンのあとは、近くのアジアゾーンを散策した。

展示エリアでは通路のほうまで本物の枯れ木の枝が伸びていて、頭の上をレッサーパンダが歩いていく。

ほかにもたくさんの動物を自然のままに観察できた。昔とはずいぶん様子が変わったところも多く、動物を身近に感じられるようになっていた。

園内のレストランで昼食休憩を摂ってから、ふれあいゾーンに向かい、うさぎなどの小動物を抱っこしたりして、思う存分楽しんだ。

十四時半になると、広場でぞうのショーがあるので足を向ける。周囲にベンチが並んでいて、そこに座って観覧できるようになっていた。

「ママの好きなぞうさんだよ」

私は泉に明るく声をかけた。

私は単純に、ぞうの長い鼻や大きな耳、つぶらで優しそうな目が好きだ。そして利他的で思いやりがあるという点も、もちろん好きな理由のひとつだった。……それから、そんなぞうがもっと大好きになった、あるきっかけがあった。

「ショーがはじまるよー!」

時間ぴったりにぞうが三匹、ぞう使いのおじさんに連れられて入場した。ぞうたちは椅子の上に立ったり座ったり回ったりして、見事な曲芸を見せてくれる。ぞうのショーは昔のままだった。

泉は大はしゃぎだ。

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