【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
「すごいね泉。ぞうさんかしこいね!」

泉に話しかけながら、私はちらっといっちゃんに視線を向ける。

「ねえいっちゃん……」

「ん?」

「……覚えてる? 小学生の頃、私のお誕生日にこの動物園に来たときのこと」

「覚えてるよ」

いっちゃんはぞうを見据えたまま首肯した。

私の小学一年生の誕生日に、私といっちゃん、旦那さまの三人でこの動物園に遊びにきたことがあった。

私の祖母は仕事があり、奥さまは獣臭が苦手なのでお屋敷でお留守番だった。

あのときも、こうしていっちゃんとぞうのショーを見ていた。するといきなりぞう使いのおじさんが、マイクを使って客席に話しかけてきたのだ。

『本日はぞうさんのショーをご覧いただき、誠にありがとうございます。実はここに、今日お誕生日のお友だちが遊びに来てくれています!』

『へえ、誰かな?』

いっちゃんは辺りを見回した。私はまさか自分のことだと思わずにわくわくしていた。

すると次の瞬間、思ってもみなかった名前が耳に飛び込んできたのだ。

『白上莉帆ちゃーん!』

「――あのときの莉帆、真ん丸な目が落っこちそうになってたな」

いっちゃんは顔をほころばせる。十八年前のことを、鮮明に記憶しているようだった。

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