【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
『莉帆、呼ばれたよ!』

小学六年生のいっちゃんは、私の腕を引っ張った。

どうしてぞう使いのおじさんが私の誕生日を知っているのかわけがわからないまま、私は前に押し出された。

ぞうは色とりどりの花でできた冠を長い鼻に巻きつけていて、私に差し出してくれる。

『莉帆ちゃんお誕生日おめでとう!』

ぞう使いのおじさんが大きな声を上げ、戸惑いながらも私がぞうから花冠を受け取ると、ショーの観客から盛大な拍手が巻き起こった。

私は大パニックで、客席を振り返る。するといっちゃんが太陽みたいにキラキラの笑顔で私を見つめていたのだ。

「……っ」

それを思い出していたのと同じタイミングで、十八年後の今、いっちゃんは私に微笑みかける。

優しい表情に、心臓が跳ねがった。

その瞬間、いっちゃんしか目に入らなくなる。

「あれはいっちゃんが私にサプライズしてくれたんだよね……?」

「ぞうさんからのサプライズだろ」

長い月日が経った今も、いっちゃんははぐらかした。

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