【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
秘密の夜
二年前、私といっちゃんは、住み込みの家政婦の孫と、そのお屋敷のお坊ちゃまという関係だった。
いっちゃんこと犀川樹は、旧財閥を継承し現在も日本経済の中枢に位置する犀川グループの御曹司だ。
私の祖母が犀川家で住み込みの家政婦をしていたため、両親のいない私は幼い頃から祖母と共にそのお屋敷の離れで生活していた。
私は父親の顔を知らず、母親は私を産み捨てて出て行った。けれど祖母は私を大切に育ててくれたから、決して不幸じゃなかった。それに犀川家の旦那さまは自分の娘のように私に接してくれたし、奥さまもとてもよくしてくれた。そしてひとり息子のいっちゃんは、私を妹みたいに可愛がってくれたのだ。私は物心がついたときから五歳年上のいっちゃんが大好きで、お屋敷の中でも外でもついて回っていた。
私が二十歳の頃、祖母が倒れてそのまま逝ってしまったときも、犀川家の人々は私に寄り添い、祖母のために手厚い葬儀を執り行ってくれた。その上、私が大学を卒業するまでお屋敷の離れで暮らし続けることも許してくれたのだ。莉帆ちゃんはうちの子同然だからと温かく見守ってくれた彼らには、感謝してもしきれないくらい恩がある。
いっちゃんこと犀川樹は、旧財閥を継承し現在も日本経済の中枢に位置する犀川グループの御曹司だ。
私の祖母が犀川家で住み込みの家政婦をしていたため、両親のいない私は幼い頃から祖母と共にそのお屋敷の離れで生活していた。
私は父親の顔を知らず、母親は私を産み捨てて出て行った。けれど祖母は私を大切に育ててくれたから、決して不幸じゃなかった。それに犀川家の旦那さまは自分の娘のように私に接してくれたし、奥さまもとてもよくしてくれた。そしてひとり息子のいっちゃんは、私を妹みたいに可愛がってくれたのだ。私は物心がついたときから五歳年上のいっちゃんが大好きで、お屋敷の中でも外でもついて回っていた。
私が二十歳の頃、祖母が倒れてそのまま逝ってしまったときも、犀川家の人々は私に寄り添い、祖母のために手厚い葬儀を執り行ってくれた。その上、私が大学を卒業するまでお屋敷の離れで暮らし続けることも許してくれたのだ。莉帆ちゃんはうちの子同然だからと温かく見守ってくれた彼らには、感謝してもしきれないくらい恩がある。