Return ー2度目の人生ー
第1章
はじまり
記憶にあるのは初めて見た父の涙と
ただ動かない身体で苦しみ続ける恐怖だった。
部屋中が煙に包まれ、視界はぼんやりしている。
意識だけははっきりとしていたが、指先はピクリとも動かない。
「どうして、お母さん、お父さん、苦しいよ。
…こんな死に方、嫌だ」
当時7歳だった少女は
自分の「死」に直面し、ひたすら涙を流した。
いつの間にか目の前の景色は変わり、
あぁ自分は死んだのだと自覚した。
三日三晩泣いた後、
聞こえてきたのは優しい声
「今度は正しい死に方をしなさい」
次に目が覚めた時には
病院のベットの上だった。