Return ー2度目の人生ー
そう、次の席に向かうまでは良かったのだ。
しかし私は座る手前で足を止めた、
ありえない光景が目に飛び込んできたからだ。
…え
「やっぱりここだったか、日茉莉。いや、ミライと呼んだ方がいいか?」
硬直して動けない私を彼はニヤリと見つめた。
「な、なんでいるんですか」
やっと状況を整理してとりあえず最初の疑問をぶつける。
「どの店か見つけるのは簡単だった。楓のおかげでな」
楓さんって昨日先生と一緒に居た人だよね?
「…やっぱり学校に言うつもり?」
「だから、俺は面倒事はしないって。」
「じゃあなんで?」
私は彼の目的が分からず多少イライラしながら疑問をなげかけた。
「後々バレたほうが厄介だろ?だからこの店は辞めてもらう」
「…は?」
いやいや何言ってんのこの人
「ちょっとまってよ。黙っててくれるんでしょ?」
「まぁ落ち着けって、後で説明するから。とりあえず店を出よう。店長に話は通してあるから」
いつのまに?
すぐさま店長の方を見つめると笑顔でひらひらと手を振っている。
驚くことで精一杯の私の手をとって彼は歩き出した。