Return ー2度目の人生ー

店を出て少し歩いた先の小さなバーの前で彼は足を止めた。

いきなり止まるので手を引かれていた私は彼の背中にぶつかりそうになる。


「ちょっと先生!どういうつもりですか?」


彼は何も言わずバーに入っていくので私は渋々あとについていった。


「やぁ、昨日ぶり!春斗から話は聞いてるよー?日茉莉ちゃん♪」

中に入ると茶髪の男、高原楓が笑顔で手を振っていて、私は軽く会釈をした。


「春斗、説明なしに連れてきちゃったわけ?困ってんじゃん」


私はそうだと先生の方を見た。


「お前にはこれからここでバイトしてもらう。
安心しろ。店長は楓だし送り迎えも俺がする」


「ちょっと状況が飲めないんですけど」


「あそこでバイトしてたらバレた時面倒だろ?昨日みたいに帰り道絡まれても厄介だからな。」


「まぁ、そうですけど…」

先生の言っていることも分かるので私は俯く。


「バイト、やめたくないんだろ?」


さっきよりも優しめな声で先生は言う
私は静かに頷いた。

「じゃ決まりだな」


「これからよろしくな。
ま、一応店長だけど俺のことは楓でいいから」


「…松原日茉莉です。これからお世話になります」


楓さんの眩しい笑顔に私はぺこりとお辞儀をした
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