Return ー2度目の人生ー
「今日はもう帰るぞ」
私は手を振る楓さんに会釈をして先生を追いかけた。
ヘルメットを渡されてバイクの後ろに乗る。
2回目だけどなんだか昨日より緊張する…。
だんだん速度があがり心地よい風が髪をかきあげる。
私は後ろから先生に聞こえるように大きめの声を出した。
「先生?ありがとうございます」
「なんに対する礼?」
彼の耳に残る低い声に私は初めて聞いた時から惹かれていた。
私は彼の返答にくすりと笑って言った。
「先生ってかったるそうにしてるけど、意外と優しいとこありますよね」
私はそう言いながら昨日と同じ美しい海の煌めきを眺めた。