崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「はっ! 誰がお前みたいな、女みたいにひょろひょろしてる奴に本気なんか出すか。窃盗犯相手に剣も抜けずにへましたくせに」

 その台詞を聞き、すぐに状況を理解した。大方、ジェフリーがディーンに負けたことを受け入れられず、因縁を付けているのだろう。
 レオナルドはどうやってこの場を諫めるのが最良かと考え、二人に声をかける。

「今たまたま通りかかったところで少し話が聞こえたが、ジェフリーはディーンに手加減をして負けたのか?」
「そうです。本気を出せば、負けるはずがありませんでした」
 
 ジェフリーは勝ち誇ったように答える。

 ディーンとジェフリーの試合はレオナルドも見ていた。
 確かに、気を抜かなければジェフリーが勝っていただろう。だが、ジェフリーは油断して負けた。それも含めて、勝負なのだ。
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