崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
幼い頃のアイリスの遊びと言えば、弟のディーンとの剣の手合わせが殆どだった。コスタ子爵家の将来の当主であるディーンは幼少期から厳しく剣の訓練を受けており、アイリスは一人で待っているのも暇だったのでいつも一緒に剣の指導を受けていた。
暇というのは実は方便で、本音を言えば一応自分のほうが姉なのだから、弟に剣で負けるのが面白くなかったというのもある。
「お母様、今日も僕が勝ったよ」
「もう、ディーン! そんなことは報告しなくてよくってよ!」
模擬剣を握りしめながら笑顔でお母様に走り寄る弟のディーンを、アイリスはむくれ顔で追いかける。
しかし、いつもならくすくすと笑いながらアイリス達を見守っているお母様に笑顔がないことに気づき、足を止めた。
お母様は立ち止まると、少し屈んでアイリス達と目を合わせる。
暇というのは実は方便で、本音を言えば一応自分のほうが姉なのだから、弟に剣で負けるのが面白くなかったというのもある。
「お母様、今日も僕が勝ったよ」
「もう、ディーン! そんなことは報告しなくてよくってよ!」
模擬剣を握りしめながら笑顔でお母様に走り寄る弟のディーンを、アイリスはむくれ顔で追いかける。
しかし、いつもならくすくすと笑いながらアイリス達を見守っているお母様に笑顔がないことに気づき、足を止めた。
お母様は立ち止まると、少し屈んでアイリス達と目を合わせる。