崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「まあ、ここの人事権はお前にあるから任せるよ」

 カールは後ろに倒れて椅子にもたれ掛かると、アッシュブラウンの髪を掻き上げて困ったような表情をした。


    ◇ ◇ ◇


 翌朝、レオナルドが訓練場で剣を振るっていると、アイリスはいつもよりも少し早めにやって来た。

「閣下、おはようございます!」

 明るい呼び声がした。到底男とは思えない、高い声だ。

「ああ、おはよう。……ディーン」

 レオナルドは手を止めて、アイリスを見つめた。
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