崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 

 いつものように剣の相手をしてやるが、どうにも調子が狂う。
 男だと思っていたから多少無理させても平気だと思っていたが、女だとわかるとどれ位の加減でやればいいのか迷った。

 アイリスはレオナルドの気など露ほどにも知らず、いつも通り全力で向かってくる。

 打ち付けられた剣をなぎ倒すときに、普段より少し力を抜いた。すると、今日はふき飛ばされなかったアイリスは回転を利用して鋭い回し蹴りを繰り出してきた。
 レオナルドは咄嗟にその足を上腕で受け止め、払い倒す。今度こそアイリスは後ろにはじけ飛んだ。

「大丈夫か!?」

 後ろに倒れて背を打ったアイリスは悔しそうに唇を引き結ぶ。レオナルドはやり過ぎたかと動揺したが、アイリスは慣れた様子ですぐに立ち上がった。

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