崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「行くぞ」
「はい」

 カインに合図され、アイリスは力強く頷く。そして、二人は一気に階段を駆け下りた。

 階段を下りきった先にはドアがあり、勢いよく開けるとそこには三人の男がいた。
 鼻につくのは独特の匂い。

 ランタンで照らされた地下室内には多数の薬草が置かれているのが見え、ここで違法薬物を作っていることが間違いないだろう。

「動くな! 皇都騎士団だ!」 

 剣を抜き、声を張り上げる。
 驚いた様子の男達が慌てた様子で手を上げたのでホッとしたそのとき、一人が壁際にぶら下がる紐を引いた。
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