崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 それでも二人をなんとか気絶させたアイリスの腹部に、ガツンと大きな衝撃が走る。

「ぐっ!」

 胃がせり上がるような強烈な痛みを感じた。体が吹き飛び、石の壁に叩きつけられる。

「ディーン! 大丈夫か!」
「問題ありません!」

 気を失いそうな痛みだが、普段からさんざんレオナルドに吹き飛ばされているアイリスはぐっと歯を噛みしめて立ち上がると剣を握る。しかし、容赦なく襲ってくる剣を今度は脇腹に受けた。

 咄嗟に自分の剣を滑り込ませて直撃を避けたが、鋭い痛みが走りバキッとあばら骨が折れる嫌な音がした。
 ガシンと地面に叩きつけられる。

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