崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
大きな怒声が聞こえてきて、助かったのだと悟った。一斉に皇都騎士団の団員がなだれ込んできて、密売人の一味を拘束してゆく。
「ディーン、カイン! 誰か、二人を運べ。医務室に──」
師団長の焦るような声が聞こえた。
「私は大丈夫です。それより、カインを」
アイリスは意識が朦朧とする中、必死に立ち続け首を横に振る。
「ばかを言うな! お前も行くんだ。こんな血塗れで!」
血塗れと聞いて自分の姿を見下ろすと、足下に水たまりのように血が滴り落ちていた。必死すぎて気が付いていなかったが、どこか負傷していたらしい。全身が痛かった。
──血が足りないわ……。
カランッと手から剣が滑り落ちる。支えを失った体は、地面へと崩れ落ちる。
「私は大丈夫です。医務室には行かない……」
「ディーン、カイン! 誰か、二人を運べ。医務室に──」
師団長の焦るような声が聞こえた。
「私は大丈夫です。それより、カインを」
アイリスは意識が朦朧とする中、必死に立ち続け首を横に振る。
「ばかを言うな! お前も行くんだ。こんな血塗れで!」
血塗れと聞いて自分の姿を見下ろすと、足下に水たまりのように血が滴り落ちていた。必死すぎて気が付いていなかったが、どこか負傷していたらしい。全身が痛かった。
──血が足りないわ……。
カランッと手から剣が滑り落ちる。支えを失った体は、地面へと崩れ落ちる。
「私は大丈夫です。医務室には行かない……」