崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
◇ ◇ ◇
──それなのに、これはどういうことなの?
アイリスは手元の書類を見て、はあっと息を吐く。
コスタ子爵家の財政状況を示す帳簿には、多額の支出を示す数字が並んでいた。挟まっている請求書の明細には、高級紳士服にドレス、貴金属、酒、……。
どれもアイリスには覚えのないものだ。
きっと、屋敷の誰に聞いても覚えなどないだろう。
「お嬢様。シレック様がお越しです」
今も屋敷に残る数少ない使用人の一人、レイラが部屋の扉から顔を覗かせる。アイリスは持っていた帳簿をテーブルの上に置いた。
「ちょうどよかったわ。私も、叔父様に聞きたいことがあったの」
すっくと立ち上がると、叔父のシレックが待つ応接間へと向かった。
アイリスが応接間の前に到着したとき、シレックは執事のリチャードに不満を述べているところだった。
──それなのに、これはどういうことなの?
アイリスは手元の書類を見て、はあっと息を吐く。
コスタ子爵家の財政状況を示す帳簿には、多額の支出を示す数字が並んでいた。挟まっている請求書の明細には、高級紳士服にドレス、貴金属、酒、……。
どれもアイリスには覚えのないものだ。
きっと、屋敷の誰に聞いても覚えなどないだろう。
「お嬢様。シレック様がお越しです」
今も屋敷に残る数少ない使用人の一人、レイラが部屋の扉から顔を覗かせる。アイリスは持っていた帳簿をテーブルの上に置いた。
「ちょうどよかったわ。私も、叔父様に聞きたいことがあったの」
すっくと立ち上がると、叔父のシレックが待つ応接間へと向かった。
アイリスが応接間の前に到着したとき、シレックは執事のリチャードに不満を述べているところだった。