崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「カトリーン」
「あ、レオナルドさん」
使用済みの包帯類を入れた籠を脇に抱えたカトリーンは、レオナルドに気が付くとぺこりとお辞儀をした。
「あいつの傷の具合はどうだ?」
「傷口は殆ど塞がっているわ。ただ……」
カトリーンは表情を曇らせ、言葉を詰まらせる。
「ただ、なんだ?」
「彼、右腕をかなり複雑に骨折していたの。魔法薬は傷の治りを早くしたり、本人の快復力を強めることは出来るのだけど、完全に壊れたものを治すことはできないわ。つまり……」
「右腕は、完全には治らないと言うことか?」
「ある程度は回復すると思うのだけれど、この国の医療水準と私の魔法薬の力では完全に治すことは難しいわ」