崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
なぜ事前の計画を無視して先行突入など無謀な真似をしたのか。
軍人を兼ねる騎士団において、命令に背いた独断行動は厳禁だ。本当の戦争であれば、その行動ひとつで、何千人もの仲間達が命を落とすことになりかねない。
事態を重く見たレオナルドはこの件に関して徹底調査を命じた。
しかし、二人は口を揃えて「直前に手紙で指示を受けた」と言うのだ。
レオナルドは直接二人と話をしたが、その様子はその場逃れで言っているようには見えなかった。
それに、レオナルドは上司として、二人がそのような稚拙な噓を言う人間ではないと確信している。
「指示書を届けた隊員はセリアンか?」
「はい、本人もそれは認めています。ただ、セリアンは指示書が落ちているのに気が付いて届けただけだと」
「落ちていた? どこに?」
「待機しているときに届いた指示書を確認していたら、足下に落ちているのを見つけたと。自分達の指示書に紛れていたのだと思って届けたそうです。それは一緒にいたペアの隊員も見ているので間違いありません」
「…………」