崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 レオナルドは宙を睨む。

 何かがおかしい。
 第五師団長は指示を出していないのに、アイリスとカインは指示を受けた。そして、その指示に使われた指示書を拾ったのは、全く関係ない第一部隊の隊員……。

「内部に情報錯乱を企んだ奴がいるな」

 考えたくはないが、それが一番しっくりとくる。
 もしそうだとするならば、絶対に看過することはできない。

「引き続き、調査にあたってくれ」
「承知致しました」

 グレイルがぺこりと頭を下げる。そして、何か言いたげにレオナルドを見つめた。

「なんだ?」
「ディーン……、アイリスはどうするのですか?」

 グレイルからの問いかけに、レオナルドはグレイルを見返す。

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