崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「よし、行くぞ!」

 一緒に物陰に隠れていた隊員達が一斉に屋敷に向かって駆け出す。訓練を受けてきた隊員達は二メートルほどの高い塀をいとも簡単に跳び越えた。

「三階の一番奥……」

 廊下の途中で仲間の隊員達が犯罪組織の連中を拘束して締め上げているのが次々と目に入ったが、アイリスはその合間をすり抜けるようにして事前に決められた場所に向かって走り続ける。

 ──あれね。

 茶色い木製のドアを、勢いよく開け放った。

「皇都騎士団だ!」

 前に立つ仲間の団員が叫ぶ。

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