崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「な、何事だっ」

 中にいると思しき人物の、狼狽えたような声が聞こえた。
 その声を聞いたとき、アイリスの心臓がドキンと跳ねる。

 忘れたくても忘れられない、けれどここにいるはずがない……。
 仲間に続いて部屋に押し入ったアイリスは、呆然とその人を見た。

「……叔父様?」

 そこには、コスタ領にいるはずの叔父のシレックがいた。
< 229 / 300 >

この作品をシェア

pagetop