崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「レオナルド閣下」
「………。アイリスか?」

 呼ばれて振り返ったレオナルドの瞳が大きく見開かれる。
 
「紹介いたします。私の弟の、ディーンです」

 アイリスが紹介するのに合わせ、レオナルドはアイリスの隣にいたディーンへと視線を移動させる。ディーンは丁寧な所作でお辞儀をした。

「はじめまして、レオナルド閣下。ディーンです。姉から話は伺っております。私のせいで、色々とご迷惑をおかけしました。閣下には感謝してもしきれません」

 ディーンは深々と頭を下げる。

「よい。俺は任務を全うしただけだ。体調はもうすっかりよいのか?」
「はい。最近は剣を扱うこともできています」

 ディーンは歯を見せて朗らかに笑う。

< 278 / 300 >

この作品をシェア

pagetop