崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 ディーンがその場を離れると、その場にレオナルドとアイリスが残される。

「ディーンが騎士団に入団するなら、コスタ家も安心だな」
「はい。本当に、閣下やリリアナ様、薬を調合してくださったカトリーン様には感謝しております」

 アイリスは目を伏せる。
 ディーンは今、アイリスのためにわざわざレオナルドと二人きりになる時間をくれたのだ。
 双子は以心伝心するとはよく言うが、何も話していないのにどうしてアイリスが望むことがわかるのだろう。

 視界に、幾重にも重なった華やかなドレスが映った。

 ──ちゃんと、言わないと。

 アイリスは恐る恐る、レオナルドを見上げる。

「閣下。テラスにでも行きませんか?」
「テラス? いいだろう」

 レオナルドはすぐに快諾した。
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