崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「では、最後にもうひとつ驚かせても?」
「最後?」

 レオナルドは怪訝な表情を見せる。

「はい。今日は、これまでのお礼をお伝えしようかと思いまして。私がディーンと名を偽っていた頃から、閣下にはとても気にかけていただき感謝しております」

 アイリスはそこで言葉を止める。
 ディーンの体調が戻ってきた頃から、随分と悩んでいた。決心したこととはいえ、声が震える。

「ディーンが元気になった今、私が皇都で騎士をしている大義名分が失われました。領地に戻ろうと思います」
「なぜだ?」

 レオナルドの眉間に皺が寄る。

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