崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「今手放さなかったら、一生離れてあげませんわよ?」
「望むところだ。もとより逃がすつもりなどない。ヘンセル男爵家の嫡男の見る目のなさには感謝しよう」
その姿に憧れて、恋い焦がれて、でも叶わぬ恋だと思っていた人の顔(かんばせ)が近付くのを感じてアイリスは目を閉じた。二人の影が重なる。
──お母様は昔、あなただけの素敵な騎士様が現れると言った。
これは没落した実家を救うために女を捨てた私の、かくも幸せな恋物語。
そしてその幸せはこの先も続くと確信している。
「戻るか?」
「はい。一曲踊ってくださいませ、閣下」
「普通は男から誘うんだがな」
レオナルドは苦笑する。けれど、その瞳はとても優しかった。
「望むところだ。もとより逃がすつもりなどない。ヘンセル男爵家の嫡男の見る目のなさには感謝しよう」
その姿に憧れて、恋い焦がれて、でも叶わぬ恋だと思っていた人の顔(かんばせ)が近付くのを感じてアイリスは目を閉じた。二人の影が重なる。
──お母様は昔、あなただけの素敵な騎士様が現れると言った。
これは没落した実家を救うために女を捨てた私の、かくも幸せな恋物語。
そしてその幸せはこの先も続くと確信している。
「戻るか?」
「はい。一曲踊ってくださいませ、閣下」
「普通は男から誘うんだがな」
レオナルドは苦笑する。けれど、その瞳はとても優しかった。