崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
    ◇ ◇ ◇


 そうしてなんとか滑り込みセーフで参加した入団式。
アイリスは先ほど寮母から渡された真新しい騎士団の制服を着て、指定された席に座った。

 ──さすがに皆、腕が立ちそうね。

 アイリスは周囲に視線を走らせる。
 皇都騎士団は数多くいる騎士の中でも最も優れた技能を持つ者だけが入団できる、エリートだ。知・体・技のいずれ一つでも欠けていてはここに入ることは許されない、まさに限られた精鋭なのだ。

 新人団員は全員が全員、背が高く体格がよかった。
 しなやかながら引き締まった体躯からは、既に相当の研鑽を積んでいることが予想できた。

 さほど待たずに式が始まり、第三師団長を名乗る人物が開会の辞を告げる。

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